スポンサードリンク

同居人の蜘蛛が死んでいた話。

なすびと言う言葉のまぬけ感ったらとても好き。

 

部屋に住み着いていた小さい蜘蛛がいつの間にか死んでいました。

数日前からずっと同じ場所にいて、なんとなく息を吹きかけてみても微動だにしないので、もう確かめる前から悲しい気持になりました。

椅子の上に立って、天井に巣を張っている蜘蛛に指を近づけます。蜘蛛の周りをくるくるなぞると巣が壊れて蜘蛛がぽとりと床に落ちました。悲しみは最高潮です。最高潮と書くと盛り上がってる感じがしますが自分の心も床に落ちた勢いでした。

もしかしたら脱皮した抜け殻かもしれないと、でももう諦めた心でそれを拾い上げて、やっぱり死んでいました。抜け殻ではない生き物の色の濃さがあって、でも間違いなく生きていない抜け殻でした。黒目が石みたいでした。指でつまんだ時に折ってしまったのか足の1節が途中で千切れていました。

しばらく手のひらの上で転がしたりつついたり眺めたりしていましたが、やっぱり動くことはありませんでした。死んでいました。

 

飼っているつもりも何も無かったのですが、なんでしょう、同居人みたいに思っていたような気がします。

この蜘蛛が自分の部屋なんかに入ってこないで、外で巣を張っていたらまだ生きていたのでしょうか。そんなことを考えるのは無駄でしかなく、部屋から出ていかなかった蜘蛛と餌を与えなかった自分が悪いのです。

 

死体はベランダから捨てました。

土に還ってくれたらと思ったのですが地面はアスファルトです。風がうまく運んでくれると願います。

 

同居人が死んでも、やっぱり今日もお酒は美味しいのです。

 

おわり。


スポンサードリンク